第39回美術鑑賞会 「生誕120年 棟方志功展」鑑賞
10月18日(水)千葉県支部第39回美術鑑賞会に参加しました。今回は、竹橋の東京国立近代美術館を訪ね、棟方志功の作品を堪能しました。参加者は7名。
いつものように、入館前に柏原さんから作者紹介&代表作の解説書を下に説明があり、見所が良くわかった。
棟方志功は、はちまきを巻き分厚いマル眼鏡姿、ニッと笑うとあどけなさを残す笑顔、一心腐乱に版木に向かって這うような姿は多くの人々の記憶に刻み込まれています。
棟方は、15人兄弟の6番目。母の乳を知らず祖母の背中で聞いた読経の声は、幼い棟方の心の奥深く記録されている。過酷な厳冬の青森に生まれ、度重なる冷害も「宿命」と受け入れざるを得ない土地柄。神仏にすがる思いは強く、薄幸でなくなった母への思いが棟方芸術の原点である。
棟方は、子どものころから絵が好きだった。ひどい弱視も貧乏も無学も関係なく、憧れのゴッホになろうとした。帝展に4回落選し、油絵に漫然とした疑問を覚える中で版画に出会った。自分は近視の弱視で遠近感がつかめない。遠近法を基本とする油絵より、白黒の世界、平面で表現する版画の世界にはまり込んだ。
1955年サンパウロ・ビエンナーレで最高賞を受賞、その後も数々の賞を受賞し、生命力の溢れた力強い版画で「世界のムナカタ」と国際的な評価を得た。
自身の版画作品を「板画」と呼び、木版の特性を生かし、板画の可能性を拡げた。
生まれながらの弱視というハンデを背負いながら深い祈りの世界を描いた「棟方」の世界は、ほんのりしながら圧巻である。
本展では、下記の時代を追いながら、絵葉書、本の装丁、挿絵、包装紙から公共建築空間の大壁画まで、多数を展示し、「メイキング・オブ・ムナカタ」の大回顧展となっている。
第1章 東京の青森人 (青森から東京へ。油彩から版画。仏教への理解。絵巻形式)
第2章 暮らし・信仰・風土―富山・福光 (福光へ疎開。版画本。版画集)
第3章 東京/青森の国際人(「世界のムナカタ」。青森テーマ。欧米旅行。オマージュ)
第4章 生き続けるムナカタ・イメージ (映像の時代の芸術家)
出展数が多く、どれも目に留まり一度では見切れないほど。特に初期の「二菩薩釈迦十大弟子」には見とれました。
鑑賞後はミニ飲み会へ、楽しく歓談しました。毎回の準備のご苦労に感謝します。
(記 吉田一弘 1968年工卒)