第18回美術鑑賞会<平山郁夫展―仏教伝来の軌跡・そして平和の祈り>「千葉県立美術館リニューアル・開館40年記念企画」【実施報告】
平山郁夫画伯に想う
作品の底流に一貫して存在する揺ぎ無い哲学・・・それは「平和への祈り」。現場主義に徹した先生の足跡を辿ると、一目瞭然、その思想の過程が理解できる。 1970年代ヨーロッパに限られていた活動範囲が、1980年代には、10世紀玄奘三蔵が辿ったインド・ナーランダへの道の取材を契機にして、一挙に西アジア~中国のシルクロードへと広がりを深めていく。この過程で、デビュー作品「仏教伝来」が完成。その後の画家としての活動の根底を築く事になる。
「この絵を描こう、この絵がきっと私の道を拓いてくれる、そう確信した。」
(「平山郁夫全集第3巻仏教伝来!」より)
先生の作品を観ていると、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「何億年前の宇宙の姿」を見ている時の不思議な感覚によく似ている。一方が科学的に厳密に切り出した「時空の風景」であるのに対して、先生の場合は「歴史の瞬間をとらえた時空の風景」であり、さらにはそこに先生の豊かな想像力が盛り込まれている。観る者に「心地よいやすらぎ」を与えてくれる由縁である。 「破壊されたバーミアン大石仏」 「原爆ドームー広島市」 「平和の祈りーサラエボ戦跡」など「負の遺産」をしっかりキャンバスに刻みこむことで、人間の愚かしさを後世の人々にしっかり伝える伝道師の姿が窺える。 私は「この画家は、決して器用な人ではない。むしろ無器用さ故に、祈りの思想の上に全人格を結実させた稀有な人であり、世界的な規模で永久に人々の記憶に残る偉大な画家である」と確信する。
・・・・68歳の翌日、平成27年3月18日「平山郁夫展」を観て記す・・・・・
杉山卓也(45経)記
(参考文献:2011年6月24日 第1版「別冊太陽 平山郁夫」)
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千葉県支部支援事業による第18回美術鑑賞会を下記の通りご案内申し上げます。
第17回に引き続き矢継ぎ早の案内です。耐震工事のため閉館していた県立美術館が2年ぶりに再開されます。再オープンの「こけら落とし」は、美術館開館40年をも記念し日本画家の平山郁夫氏が特集されます。
平山郁夫(1930~2009)といえば奈良薬師寺の巨大な5枚の壁画「シルクロード」に代表されるように、仏教への強い関心と平和への祈りを込めて壮大なスケールの作品を描き続けました。氏は広島県瀬戸田町(現尾道市)に生まれ、自らの被爆体験に基ずき、またシルクロードや日本各地を取材し感銘を受けて描いた数々の作品は、現在でも見る人を魅了してやみません。
本展覧会は滋賀県守山市の佐川美術館の所蔵作品を中心。インドの城と村人の姿を描いた「故城下村民帰牧図」や「大唐西域画」「平和の祈り-サラエボ戦跡」など中国、韓国、中央アジア、日本を舞台にした作品約90点が並びます。
同時に同館所蔵の「朝井忠」「梅原龍三郎」「岸田劉生」などの作品も展示されます。地元千葉での大きな美術展です。是非ご覧ください。(ご同伴歓迎)
1.日 時 平成27年3月18日(水) 13時30分~16時頃
2.場 所 JR京葉線、モノレール千葉みなと駅より徒歩10分
(13時30分美術館入口に集合下さい)
3.費 用 入場料 800円
(65歳以上無料 年齢を証明できるものをお持ち下さい)
4.お申込み 柏原博人(43,工) ☎&Fax 047-337-0893
Eメール;jj.kashihara@zd6.so-net.ne.jp
小林英彦(35,法) ☎ 043-422-7544
Eメール:brb17011@nifty.com